menu

網膜剥離

1)網膜剥離とは?

ihfig1

眼球壁は大きく分けると外から強膜、脈絡膜、網膜という3つの膜から構成されています。

眼球は前方より光が入ると角膜、水晶体で屈折し、網膜の上に像を結び物体を認識することができます。

網膜はカメラに例えるとちょうど光を感じるフィルムに相当し、網膜剥離とはこの網膜が本来の位置から眼球の内側に向かって剥がれてしまう病気です。症状としては初期には黒いものが飛ぶ(飛蚊症)、光が走る(光視症)、網膜剥離が進行してくると視野が欠ける(視野欠損)、網膜の剥離している範囲が視力に重要な黄斑という網膜の真ん中の部分にまで及んでくると視力が大幅に低下します。治療せず放置しておくと失明に至る病気です。

 

2)網膜剥離はどのようにしておこるのか?

網膜の前には硝子体というゼリー状の組織があり、中高齢者や近視の強い人では一部が溶けて水のようなところが形成されます(硝子体の液化)。

やがてゼリー状の部分が収縮すると後部硝子体剥離という状態になり、飛蚊症(目の前に糸くずのようなものが見える)や光視症(暗いところでも光が走る)の原因になります。この時に網膜と硝子体にひっついたところがある人は網膜がひっぱられて裂け目ができます(網膜裂孔)。

この裂け目から水状となった硝子体が網膜の下に入り込み網膜が剥離した状態が網膜剥離です。この状態が長く続くと網膜の細胞は死んで光を感じなくなります。

ihfig25

▲ページトップへ

 

3)網膜剥離はどのようにして治療するのか?

手術によって網膜を元の位置に戻し裂け目をふさぎます。手術の方法としては、2通りあります。強膜バックリング術(強膜内陥術)と硝子体手術です。

強膜バックリング術(強膜内陥術)

簡単に言うと外側から眼球を凹ませて網膜の裂け目をふさぐ手術です。
まず冷凍凝固装置を強膜上からあて網膜の裂け目のある部分で眼球を内側に向って凍らせます。こうすると裂け目とその外層で炎症がおこりひっつき易くなります。
その上にシリコンでできたスポンジを縫いつけ眼球を内側に向かって陥没させ、裂け目を塞ぎます。網膜の下に溜まった水は強膜に小さな穴を開け排除します。網膜の戻りが悪い時は眼球内に気体を注入し内側から圧迫します(ガスタンポナーデ)

ihfig691

硝子体手術

内側から網膜を引っ張っている硝子体を切除したうえで、網膜を内側からガスで膨らませ、網膜を元の位置に戻して網膜の裂け目をふさぐ手術です。
まず強膜に3箇所1ミリ程度の穴を開け、そこから硝子体がある硝子体腔内に器具を挿入します。器具は眼内を照らず光源と硝子体を切除する硝子体カッター、眼内を代わりの眼内液で満たす灌流ポートがあります。
まず硝子体を切除します。硝子体が無くなった硝子体腔内にガスを注入して網膜を内側から元の位置に戻し(ガスタンポナーデ)、ガス下で網膜の裂け目をレーザー(網膜光凝固)で塞ぎます。術後はガスが眼内に残るので1~2週間はうつ伏せ等の体位の制限が必要になります。

網膜剥離が見つかった場合は緊急に手術が必要になります。網膜の真ん中の黄斑が剥がれると網膜自体が復位しても十分に視力が回復しなかったり、変視症といってものがゆがんで見える症状が残ったりすることがあります。黄斑が剥がれていない場合は早く手術をして黄斑に剥離が及ぶ前に治すことが望まれます。また網膜が剥がれて時間が経過していると網膜の細胞も栄養分が届かなくなって十分に機能が戻らなかったり、網膜の前に膜が張って元通りにくっつきにくい状態になることがあり、早めの手術が必要な病気です。

網膜剥離(手術前)
moumakuhakuri01

網膜剥離(手術後)
moumakuhakuri02

一覧へ戻る