「逆まつげ」は、眼科的には「眼瞼内反症」と「睫毛(しょうもう)乱生症」に分けられます。
どちらも様々な原因によってまつげが眼球に向かって生えている状態のことをいいますが、「眼瞼内反症」はまつげ全体が眼球に向かっている状態で、「睫毛乱生症」は正常なまつげの中で眼球に向かって生えているまつげが何本かある状態をいいます。
「眼瞼内反症」は症状としては機械的刺激による違和感の他に、涙がたくさん出たり、目やにが出やすくなったり、充血したり、ひどい場合には角膜に潰瘍が出来て角膜が濁り、視力が悪くなることもあります。
これに対し、「睫毛乱生症」は症状は軽く、視力障害となることはほとんど有りません。
どちらもまつげを抜くとしばらく症状はましになりますがまた生えてくると同じ症状がでてきます。
あなたの場合は、どちらでしょうか?
生まれつきの「眼瞼内反症」はたいていは自然に治ってくることも多いのですが、治ってこない場合、その重症度にあった治療が必要になってきます。
「睫毛乱生症」は少量ならば根気よく抜いたりビューラーで角膜に触れないようにすれば特に問題は有りません。
逆まつげがあっても眼の表面の角膜に傷がなければ何もする必要はありません。
まつげが直接角膜に当たることで角膜の表面に点状の傷がついているときはそれに対して角膜を保護するような目薬をさすと傷の治りが早くなりますが、対症療法でしかありません。
まつげが角膜を刺し、痛みや充血を生じれば手術の適応で、成人であれば特に手術の時期を選びません。
「睫毛乱生症」に対しては、局所麻酔の後、電気分解・冷凍凝固・アルゴンレーザー光凝固などによりまつげの根もとを破壊するような治療があります。
いずれも有効で美容的にも目の形を変えることは全くなく施行できますが、通常1回では完治せず、2~3回の治療が必要になります。
「眼瞼内反症」での手術は局所麻酔の後、皮膚を切開しない方法と皮膚を切開する方法があります。
どちらにしても手術直後はやや外反(外向き)ぎみに思えますが、最終的には跡が残るとしても少し筋がつく程度で、特に目の形が変わるというような事はありません。
いずれにしても今の状態を直接眼科医がみて、適切な治療を選択する事が必要です。できればそういった睫毛乱生や眼瞼内反を専門とした眼科医に見てもらうといいでしょう。
文責:高岡 真帆
|